WONDERLIZE INSIGHT
経営者と人事のための、採用・組織レター Vol.05
「採用がうまくいかない」の大半は、
採用の外で決まっている。
採用の悩みは、組織を読み解く“手がかり”になる。
工場のラインは、一番遅い工程の速度でしか流れません。手前をどれだけ速く工夫をしても、最も遅い工程の区間が詰まっていれば全体は1ミリも速くならない。むしろ詰まっている点の手前部分に溜まっていくだけです。製造現場では常識となるこの話が、採用になると忘れられます。
「応募が集まらない」「いい人が採れない」「すぐ辞める」。多くの会社は、これを採用活動の中で模索します。媒体を変える。面接を磨く。選考者を増やす。どれも正しい。でも直らないことがある。ボトルネックが採用の外にあることが多いからです。
経営学に「制約条件の理論」という考え方があります。要点をひとつに絞ると、“全体の成果は、一番細いところで決まる”ということです。そして一番細い場所はたいてい探しているところにありません。
採用も同じです。数字が悪いと、原因は採用活動の中にあるように見える。でも本当の詰まりは、その外にあることが多いのです。
内定辞退が続く会社がありました。選考の仕方を改善しても条件提示の見せ方を変えても、辞退は止まらない。詰まっていた箇所は選考フェーズそのものではなく、「入社後に何が待っているか」が見えないことでした。配属先・育て方・任される仕事。どれも輪郭がぼやけているケースは非常に多いです。人は、見えない場所には飛び込めません。
企業は、見せているつもり。伝えているつもり。でも、大事なのは受け側が見えているか。理解しているか。
早期離職が多い会社もありました。採用基準を厳しくしても、辞める人は減らない。詰まっていた箇所は基準ではなく、受け入れる現場に余力がなかったことでした。採れても、育てる手が空いていない。入り口を狭めても、出口の穴が開いたままで“人材保有”としては溜まりません。
採用活動は、組織開発において重要な機能のひとつです。製造工場のように、どこかの工程が詰まればその手前に溜まって数字に出る。辞退・離職・応募の少なさ。多くはその溜まっている箇所を検知するためのサインです。数字だけを追うのは、毎年変動する場当たり的な要素に一喜一憂するのに似ています。見るべきは、詰まっている工程のほうです。
だからこそ、採用を立て直すとき、私はまず採用以外の組織状況を気にかけることを意識しています。配属後の育成。評価と処遇。現場の余力。社内の事情や企業文化。自社の魅力が言語化されているか。経営と現場が、同じ絵を見ているか。人の集まりで組織を構築する以上、“採用”は各所の詰まりが最後に噴き出す場所です。入り口だけをいじっても動きません。
ここに、ひとつ厄介な点があります。自社のボトルネックは中にいると見えにくい。毎日その工場で働く人ほど、複雑な工程すら“普通”に見えてしまう。慣れは、特殊な条件(状況)も、標準であると錯覚してしまいます。だからこそ、外からの目がいるのです。
ボトルネックは、たいてい探している場所にない。
採用に手を尽くしても手応えがないなら。問い直すべき場所は、採用活動の中ではないのかもしれません。少し目線を広げれば、ヒントが見えてきます。貴社の紐解くべき箇所はどこにありますか。
FROM THE FIELD
採用の“外”を、どこから疑うか
採用活動がうまくいかないとき、採用担当だけを責めても解決はしません。その原因はもっと深いところにあることが多く、その“詰まり”ほど、外の目のほうがよく見えます。
一度、“外側”からの目線で自社の採用活動を見てみてください。そして、ネックポイントが見えたとき、会社への改善提案はとても強いインパクトを持ちます。それは採用強化・組織強化へと発展し、経営者が求めている変革へと繋がるはずです。
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