WONDERLIZE INSIGHT
経営者と人事のための、採用・組織レター Vol.03
面接官の質が、
応募者の質を決めている。
「いい人が来ない」の、もう半分の話。
「御社の面接、応募者からどう見られていると思いますか」
ある大手企業の採用責任者に、私はそう尋ねたことがあります。その方は少し考えて、こう答えました。
「考えたこともなかったです」
面接は“こちらが選ぶ場”だと思っているかたが大半です。でも応募者もまた、面接官を通して会社を値踏みしている。その視点が抜け落ちていることは意外と多いのです。
ある会社で、優秀な学生が最終面接まで進んで辞退しました。理由を聞くとこう言ったそうです。「面接官の方が、自社の魅力をひとことも語れませんでした」スキルも実績も申し分ない学生でした。彼は面接官を見て会社を見切ったのです。
これは珍しい話ではありません。「いい人が来ない」と嘆く会社の何割かは、実は「いい人に去られている」。そして、その引き金を引いているのは面接の“こちら側”であることが意外に多いのです。
考えてみれば当たり前の話です。応募者にとって面接官は、面接当日に会社のすべてを映す存在です。履歴書に目も通さず「今日は誰の面接だったかな」と始まる面接。興味なさそうに頷き時計を気にする面接官。逆質問に自社の言葉で答えられない面接官。優秀な人ほど、その数十分で会社の本気度を測り志望順位を下げます。
さらに厄介なのは、面接官の質が応募者の“質”そのものを左右することです。こわばった応募者に、良い問いを一つ投げるだけで目の色が変わる。逆に、圧の強い面接官の前では優秀な人ほど当たり障りのない答えに逃げます。「この応募者は大したことない」と感じたとき、その半分は引き出せなかった側の問題かもしれません。
もちろん、面接官を責めたいわけではありません。多くの面接官は、本業を抱えたまま片手間で面接に駆り出されています。準備の時間もなく、評価の物差しも渡されないまま現場に放り込まれる。これは個人の資質ではなく、仕組みの問題です。
採用の世界には、面接の評価は驚くほど当てにならないという古い指摘があります。第一印象や、その日の気分に判断が大きく引きずられてしまう。それなのに多くの会社は面接官を“訓練しない”。面接官として抜擢したことで、採用として人を選ぶ技術は備わっているとなぜか信じられているのです。
そして数年後、同じ会社がよくこのように言います。「最近、いい人が採れなくてね」それは、母集団の問題ではないのかもしれません。鏡にうつる自分の顔を見て「最近うつりが悪い」と言っているのに少し似ています。
面接は、鏡です。
Vol.1の記事で『採用は、鏡です。』と語っていますが、面接も同じです。
会社の本気が応募者の本気を引き出します。こちらが手を抜けば相手も見切る。こちらが真剣なら相手も応える。面接官の質は、そのまま会社の“採用力”の質なのです。
FROM THE FIELD
面接の“こちら側”を見直す
この記事を通じて、面接を“される側”の視点で一度眺めていただけたら幸いです。
人を選ぶ技術を磨くことは、そのまま“選ばれる会社”になることでもあります。それが巡り巡って、採用の景色を変えていくと信じています。
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