Wonderlize Insight Vol.08|組織は、制度で変わらない。

WONDERLIZE INSIGHT

経営者と人事のための、採用・組織レター Vol.08

組織は、制度で変わらない。

変化はいつも、一件の「例外」から始まる。

組織を変えようとする時、多くの会社はまず制度に手をつけます。評価を見直す。等級を組み替える。新しい仕組みを導入する。正しい手順です。私も制度の設計をご一緒することがあります。

それでも、こういう話をよく伺います。「制度は変えたのに、現場の空気は変わらない」人事の方が、いちばん悔しい思いをされている場面です。

なぜ、そうなるのか。それは、順番が逆になっているからだと考えています。制度が組織を変えるのではありません。先に誰かが今までと違う判断をして、それがとがめられなかった。その事実が積み重なった後で、制度がそれを追認するものです。制度は変化の起点ではなく、変化を記録したものとなります。

だからこそ私は、その会社の制度より先に別のものを見ます。前例のない案が持ち込まれた時、社内で何が起きているか。これは、制度の分厚さでは分かりません。

止まる箇所の大半は決まっています。稟議の三人目。部門をまたぐ瞬間。そして「前例はあるの?」と問われた時。この三つで、たいていの例外は前に進まなくなります。

ここで大事なこととして、止めた人は間違っていません。前例を確認するのは職務として正しいです。むしろ真面目な方ほど丁寧に確認します。誰かの怠慢ではなく、仕組みがそうさせているだけなのです。

もう一つ見落とされやすい点があります。通った例外が、その後どう扱われるかです。うまくいった例外の大抵は担当者の手柄話で終わります。「あの人だからできた」というよくある話です。社内には残りません。

すると、二人目が現れなくなります。組織が学べないのは、失敗を隠すからだけではありません。成功を判断として残していないからです。

制度化を急ぐことにも落とし穴があります。一件うまくいったからすぐ仕組みにする。熱があるうちに形にしたい気持ちはよく分かります。ただ一件だけを元に作った枠は、少し形の違う次の例外を通しにくくします。変化を広げるはずの仕組みが、変化を絞ることもあるのです。

制度は、変化の記録です。

FROM THE FIELD

例外を、どこで見るか

1
誰が止めたかではなく、どこで止まったかを見る。
人を追及すると、次から誰も持ち込まなくなります。見るのは工程です。稟議のどの段階か。どの部門の境目か。同じ箇所で何度も止まっているなら、それは個人ではなく設計の問題です。
2
通った例外は、成果ではなく“判断”を残す。
結果だけを共有しても、次の人は動けません。何を根拠に進めたのか。何を許容したのか。判断の中身が残って、はじめて二人目が出てきます。
3
制度にするのは、事例が揃ってから。
一件で仕組みにすると、その形だけが正解になります。似た判断がいくつか出てくるのを待ってから、共通点を制度にする。急がないことが、結果的に早く広がります。

制度をつくる仕事には、大きな意味があります。組織の考え方を形にして、次の世代へ引き継ぐ仕事です。ただ、その手前にもう一つできることがあります。

前例のない案が持ち込まれた時、それがどこまで進んだか。進んだ案が、その後どう扱われたか。そこを見ている人が社内に一人いるだけで、組織の動き方は変わります。

そしてその一人は、制度を最もよく知る人事の方が向いています。例外が通った回数は、そのまま組織の伸びしろになります。

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Wonderlize Insight | Vol.08
発行:ワンダーライズ株式会社(Wonderlize Inc.) / 著:宮川 卓也(代表取締役)
これまで500社以上の採用支援に関わり、組織改革のご提言も行ってまいりました。
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